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甲状腺ホルモンと妊娠

「甲状腺ホルモンと妊娠」

不妊治療で一番の大敵は「ストレス」

ただでさえ、藁でもつかむ想いで、必死に時間的、肉体的、経済的優先順位を上げて頑張っておられる時に、いろんな検査数字にショックを受けられ落ち込まれています。

今回は、そんな中の「甲状腺ホルモン」についてまとめてみました。

結論から言うと甲状腺ホルモンは、妊娠に影響があるのは事実ですが・・・

服薬によって甲状腺ホルモンの数字を整えさえすれば、問題はほとんどないという事になります!!

甲状腺ホルモン異常は2つの場合があります

(1)甲状腺機能亢進症 -症状として発汗、熱感、動悸、いらいら、などがあり、いわば「マラソンをしている状態」です(バセドウ病など)

甲状腺機能亢進症の状態はどのような内分泌的影響があるかというと、まずカラダ全体のホルモンバランスが崩れます。それに伴い、規則正しい性関連ホルモンが異常をきたす事になります。よって月経不順や無月経になることも珍しくありません。それらの結果、妊娠しにくい状態になるということです。そして、ホルモンバランスが崩れる事により体調が悪くなり、精神的にも支障をきたす事があります。それが不妊の状態に悪影響を与えることにも結びつきます。こういう場合も適切な治療投薬を受けて、ホルモンバランスを整えれば問題はありません。

(2)甲状腺機能低下症 -症状として冷え性、不眠、記憶力減退、憂うつ感、関節痛、皮膚乾燥、浮腫、便秘、などがあり、いわば「眠った状態」です(橋本病など)

甲状腺機能低下症だからといって不妊症になることはありません。甲状腺ホルモンが不足している場合(甲状腺機能低下状態)は妊娠しにくくなる人があると言われていますが、必ずしもそうとは言えず、著しく不足している状態で妊娠する場合もあります。また、そのために子どもができにくいのであれば、甲状腺ホルモンを補うことによって解決するはずです。 甲状腺ホルモン不足を治療しないでいると、生理の間隔が短くなったり、量が多くなるなど、月経に異常のおこることがあります。

以上のとおり「甲状腺ホルモン異常」が不妊の直接的な原因となるものではなく、症状がある場合は、きちんと治療・服薬し管理するこどが大切です。

 <妊娠すると流産する?>

*甲状腺機能に異常がある方が妊娠すると、流産する率がごくわずかですが増えるとされています。治療されていれば、甲状腺の異常がない方と同じ程度の流産率です。

*甲状腺機能亢進症の方は高血圧を中心とした妊娠中毒症になる率が高いです。

<甲状腺機能の異常は胎児に影響する?>

*甲状腺機能の異常があれば、妊娠中でも薬による治療をしないと胎児への影響がある可能性があります。

*甲状腺ホルモンは胎盤を通過しますし、甲状腺の治療薬の一部も胎盤を通過しますので胎児に影響する可能性があります。ちゃんとした管理のもとであれば大丈夫です。

*甲状腺機能亢進症の薬は、通常量では影響しないとされています。

たとえばメルカゾールでは、1日10mgまでは問題ありません。1日15mg以上だと服薬して6時間以上あけてから授乳すればよいです。チウラジールでは1日300mgまでなら授乳制限は必要ないです。甲状腺機能低下症の薬(チラージンS)は、影響せず、授乳を控える理由はありません。ヨード剤を服用していても、授乳は通常通りで構わないです。

妊娠初期に、つわりがひどい、動悸がする、汗が出る、体重が減りすぎる、流産をくり返す、など出産後に、うつ傾向がある、などがあれば、甲状腺の異常がないかを疑ってみることが必要です。

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